こんな人におすすめ
- 食べる事が好きな方
- 特にお肉が好きな方
- 珍しい食材、料理を知りたい方
ガーナ人に最も好まれるグラスカッター
日本では鶏、豚、牛を中心に様々なお肉が食べられています。
ガーナではお肉が高価であり、食事に出てくる回数や量は少ないですが、同じ種類のお肉を食べる事が一般的です。
ガーナで食べられているお肉については別の記事で紹介しているので、そちらもご覧ください。
さて、良く食べられるお肉は日本と似ていますが、ガーナにはガーナ特有のお肉もあります。
その中で、ガーナ人に最も愛されているお肉がグラスカッターです。

グラスカッターという名前は聞き馴染みがないと思いますが、大きな食用ネズミと言えばわかるでしょう。
グラスカッターのお肉は豚肉と鶏肉を足して2で割ったような味で、強い弾力と独特な風味を持ち合わせています。
ガーナ料理のスープに付いて出てくることが一般的ですが、食肉の中でも大変高価なため、イベントやお祝い事の時にだけ食べるそうです。
ボクが購入した時は一匹2kgで100セディ(約2000円)と日本人から見ても高いと感じました。
ネズミを食べる国はガーナだけでなく、アフリカや南米、アジアにもあります。
しかし、ガーナではただ食べられているだけではなく、最も好まれているという所にグラスカッターへの愛が感じられますね。
グラスカッターはどんな動物?

グラスカッター(Grasscutter)は大きな食用ネズミと紹介しましたが、ここではより詳しくお話しします。
ガーナを中心とした西アフリカ地域で食べられているグラスカッターは体長が40cm~60cm程の大型齧歯類です。
アフリカ諸国では、グラスカッターの他にもギニアピッグ(Guinea pig)やケインラット(Cane rat)と呼ばれる近種もいますが、同じ動物と捉える研究者も多いと聞きました。
サバナ気候で、乾燥したガーナは大型動物の成育が難しいと言われ、牛や豚などの飼育が特に北部では盛んではありません。野生動物をみても、東アフリカのように多種多様な種は西アフリカでは見られません。
小型動物である齧歯類は少量の水でも成育でき、天敵も少ない事から広く生息しています。
草食であるグラスカッターはガーナに自生するエレファントグラス(Elephant grass)やぎネアグラス(Guinea grass)を主食としており、農地の野菜を食い荒らすこともあるそうです。
その際、両手を器用に使い、まるで「じゃがりこ」を食べるかのように葉や茎をサクサクと食べる事から「葉を切る→グラスカッター」と名付けられました。
ネット検索をしてもグラスカッターで出てくるのは芝刈り機の情報ばかりであるように、イメージがそのまま名前になるのは珍しいと思います。
嘘だと思われる方は一度、「グラスカッター」で検索してみて下さいね。
食べる姿は愛らしかったですが、人々の食糧を取られてしまうのは現地の人々にとっては残念なことです。
グラスカッターを飼育するガーナの人々

ガーナでは長年、大きな問題を抱えています。
それは厳しい気候であることから、畜産が盛んではなく、動物性タンパク質の供給源が少ない事です。
炭水化物源になるソルガムの生産量は世界有数の国ではありますが、タンパク質源は安定生産が出来ておらず、多くは狩猟肉に依存しています。
野生動物は飼育コストがかからないという利点を持ちますが、生態系の破壊や衛生面での安全性等大きなリスクを抱えており、近年は野生動物を食べない取り組みが世界各国で進められています。
そういった背景から、「グラスカッターを飼育すれば、畑も守れて、動物性タンパク質の確保もできる」とガーナ人は目をつけて飼育が始まりました。
トウモロコシの実を取った後の茎や葉、川や池の周りに生えている植物など、人の食糧と重ならない餌を与える事ができるため、現在は少しずつ飼育を始める人が増えています。
いつでも食べられる家畜がいるのは、日本にはあまりない状況で、ガーナならではですね。
グラスカッター料理を食べてみた

グラスカッターのお肉を使った料理と言えばこれ!というものはありませんが、お肉はフフやバンクーのスープに入れて食べられます。
お肉自体は乾燥させてジャーキーのようにすることで長期保存をし、マーケットで販売されます。
野生のグラスカッターを食べる場合は、狩猟の関係で新鮮な物を食べられないので保存の必要性があるそうです。
ジャーキーにしている分、味は濃いですが、食感は固く、料理としては物足りなく感じました。
一方、飼育されたグラスカッターの場合は、食べる直前にお肉が出来上がるため、新鮮で柔らかいお肉を食べる事が出来ます。
そこで、ガーナ料理以外でもグラスカッターに合う料理を探すため、現地で知り合った日本人の方とグラスカッターのお肉を食べる会を開催しました。

作った料理は「グラスカッターキムチ」です。
グラスカッターのお肉は味がしっかりとあるので、キムチに負けることなく良い味を出します。
食感は柔らかいですが、脂肪は少ないので、べちょべちょせずに食べられるのも良かったです。
ガーナでもグラスカッターは発展途上の畜産動物なので、日本で食べられる日が来るのはもう少し先になりそうですが、日本人好みのお肉なので楽しみです。
ここまで、読んでもう待てないという方にはオススメの動物が実は日本にもいます。
それは「ヌートリア」です。
グラスカッターと同じ大型の齧歯類であるヌートリアは戦前の食糧不足と皮の利用のため、日本各地での飼育が薦められていました。
戦後は飼育の必要がなくなり野生に放された事で、今では害獣と呼ばれるようになっています。
西日本を中心に広く生息しており、現地ではヌートリア料理がいくつかあるそうです。
山口県の記事で見た事があるので、旅行で行く時には一度食べてみたいと思っています。
まとめ
今回はガーナで食べられている中でも珍しい、グラスカッターのお肉について紹介しました。
日本では食べられていないけど、現地では食べられている珍しいお肉や食事を体験することこそ旅行や留学の楽しみであると言えますね。
ガーナ留学ではグラスカッターの味を知ることができたので、南米やアジアでも食べられている他の齧歯類も挑戦したいなと思います。
日本で食べられるお店を知っている方はコメントやツイッターから教えて下さいね。